本や映画、ゲーム紀行

読んだ本や映画、ゲームについてしゃべります。

虐殺器官について語りたい

皆さん初めまして。この度ブログを開設しました。

 

このブログでは説明の通り映画、本、英語やITについてしゃべっていきます。それ以外もたくさんしゃべります、おそらく。

 

そして今回は伊藤計劃氏の処女作を扱います。

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虐殺器官」って本屋のSFコーナーには絶対目立つ場所に置いてありますよね。1年ほど前に読了した気がします。

実はアニメ映画版を先に見たのでそこは若干邪道かもしれませんね(笑)でも作画や演出、演技などアニメーションのクオリティに関してはめちゃくちゃ高いので食わず嫌いしてる方も一度見てみることをお勧めします。配信も割とされてるので敷居は低いほうではないかと。

 

小説に戻りますが、とにかく物語が面白いです。世界各地で起こる虐殺の真相が物語を引っ張ってますが、グイグイと引き込まれました。主人公であるクラヴィスについてですが、割と感情移入しやすいんですよね。バックグラウンドはそこそこ独特ですが一般人に近いんです。

ラヴィスを含む特殊部隊員は痛覚マスキングや戦闘適応感情調整を受け、降下時には人工筋肉でできたポッドを使用します。アニメ版ではクラヴィスがアメフト観戦中に「過保護すぎるんだ」というシーンがあった気がしますがこれは彼ら自身に向けられているような気もします。

 

またお気に入りな点として話が淡々と進むところがあります。クラヴィスやウィリアムズ、アレックスやリーランドなどのキャラクターはまず戦闘で負けないんですよ(終盤の同士討ちを除く)。まぁ負けるっちゃ負けるんですが、彼らの力量はそこまで重視されてないと思うんですよね。

その強さ所以の怖さみたいなのも魅力だと思います。戦闘適応感情調整と痛覚マスキングによって彼らは最強に等しい存在なんですよ。だからこそ中盤の同じ措置を施された部隊との戦闘で肉片になるまで撃ち合う様は一掃不気味さが強調されます。

 

ルツィアとジョンとの接触を経てクラヴィスの感情は変化していきます。普段の何気ない生活の象徴ががデリバリーピザっていうのは発明だと思うんですよ。ジョンはテロを起こさせないために各地で虐殺を引き起こしていましたが、僕たちを取り巻く日常がどんどん浮き彫りになっていきます。

「人は見たいものしか見ない」というフレーズがあったと思いますが、これはかなり刺さりますよね。牛肉を買っても食肉処理場の事なんて考えもしません、考えたくないです。アニメか本か忘れてしまいましたが、人工筋肉の処理についてジョンは触れてました。

 

 

終盤、クラヴィスはウィリアムズと決裂します。アニメ版では既存のインフラに対して「そのすべてが嘘っぱちなんだよ!」とクラヴィスが言ってた気がします。小説では「その全部が無意味なんだ。嘘っぱちなんだよ。セキュリティなんて無用なんだ」でした。ここに関してはアニメの方が好きなんですよね。もちろん中村悠一氏の熱演もありますが、絶望と怒りが端的に表現されてると思うんです。

そしてウィリアムズの返しも最高です。「嘘っぱちだろうが何だろうが、すでに走っちまってる経済は紛れもない本物だぜ」

 

とにかくすべてのキャラクターが印象に残るんですよ。前後しますが特にウィリアムズの「俺は俺の世界を守るとも」が最高です。食いきれないビッグマック、ピザをゴミ箱に捨てる。こんな世界でも守る必要があると彼は考えました。考えたというか彼の考えは一貫してたと思いますが。

 

色々しゃべりましたがまだまだしゃべり足りないですね。正直、虐殺器官の理解度に関しては自分はまだ浅いと思います。割とアニメ版を複数回鑑賞してるのですが、また見たくなってきました。いつかアニメ版に絞ってまた喋るかもしれません。

 

少しでも共感してくれる方がいたら嬉しいです。ではまた。